「テーマ型投信」
この言葉を耳にすると稲川淳司の怖ーい話並に背筋がゾクッとします。(笑)
私は2018年3月までとある地方銀行に5年間勤務しており、資産運用アドバイザーとして売上が10億超える会社の役員の方や地元の名士の方などに投資信託の販売を行っていました。
2017年の10月に転勤して人口10万人程度の都市にある支店に行くことになったのですが、ちょうどそのころトランプ大統領の経済政策の追い風の影響で20数年ぶりに日経平均が20,000円を超えたり、NYダウが過去最高を記録するなどバブル崩壊以降非常に景気が良かったため先輩が過去に販売しており含み損をかかえていた投資信託も基準価格が徐々に回復しほとんどの投資信託で運用収支がプラスになっていたのです。
「自分に神風が吹いてきたぞーーーー!!」と意気ごみ投資信託を保有している顧客に片っ端から電話し
「いま保有の投資信託を解約しませんか?かなりの利益がでていますよ」と話すと
お客さんは「ちょっと前に封書で運用成績見たけど数十万円マイナスがでてだけど本当に!!??」という反応。
しめしめとほくそ笑みながら
「はい、北朝鮮の動向次第で日経平均がマイナスの影響を被ることもありますが、一般的にはこのまま日経平均が伸びていくと思います。なのでこのまま保有しつづけるのもいいとは思うのですが、一度利益確定してから今の時勢にあった投信を購入し、運用利回りをもっとプラスにもっていきましょう」と話せば
「そしたら一旦話でも聞こうかな」という流れになりこちらが勧めた投資信託を購入してくれることができました。
このとき私が勧めたのは「フィンテックやロボティクスと言われるテーマ型の投資信託」
これらの投資信託の中にはアマゾンやファナック、キーエンスなど株価の成長が見込めるものがたくさん含まれていましたが心の底からは勧めることを躊躇してしまいましたね。。。。過去に苦い思い出があったためです。
その理由は2つあって
1つ目は「販売時点で基準価格が高騰してしまっておりオトクとは決していえない点。」
2つ目は「販売手数料が3%を超えており投資信託の中でも高い点。」
につきます。
まず、1点目の基準価格が高騰しておりおトクではない点というところなのですが

この図を見てください。私がちょうど販売したのが2017年11月頃。この14,000円という数値は過去最高の基準価格でした。テーマ型投資信託は今後経済成長するだろうとかこんなテーマにしたら売れるだろうというテーマを決め、ファンドマネージャがそれに合う企業の株を寄せ集め販売するものなので今まで販売した投資信託とは全く違った観点のものなります。
当然初めての試みであるファンドも多いため当たれば大きいですが外すと大きな損をする可能性もあります。

今のところフィンテック市場は順調に成長していますがこのパフォーマンスが急落してしまったら大きな急落も免れないことなります。
実は私は2015年から投資信託を販売していたのですがそのとき流行ったテーマ型の投信である医療特化型の投資信託「グローバルヘルスケア」を勧め見事に外してしまったのです。投資信託の販売ノルマが全く達成できていなかった私は会社の社長の預金の半分でこの投資信託を購入してもらったのですが
あれよあれよという間に損失額が大きくなりついには100万円以上の損失額を出してしまったのです。
これに対しお客さんは大激怒!

「こんなに大きな損失をだすなら投資信託を購入していなかった。もう○○銀行とは付き合いたくない!出て行ってくれ!!!」と銀行員人生で一番怒鳴られましたね。。。
その後、支店長帯同のもと「菓子折りをもっていき長い目で見ればいつか元本回復する可能性があるのでもうしばらく待ってくださいと何度も懇願し「そこまで言うなら」となんとかその場は収まりましたが、あれほど冷や汗をかいたのは後にも先にもこの時だけでしたね。
そのグローバルヘルスケアという商品の価格推移が以下のこれで

2015年11月に販売しその2年後やっと販売時の基準価格に戻りました。もし途中で解約していれば10%~20%程度の損失を出していたことになります。
2つ目の販売手数料が高いというのは
テーマ型の投資信託はファンドマネージャーが1から銘柄を選定しているためその手間がかかること
や一定期間で銘柄の割合を変えていたりと非常にコストと時間が掛かっているため必然的に手数料が高くなってしまいます。
販売手数料が3%もあるということは運用成績は当然3%以上ないとプラスにはならないということになるので販売手数料が高い投資信託はそれだけで大きなハンデを背負うことになるといっても過言ではないのです。
扱うテーマによりますがテーマ型は投資信託の中でもハイリスクハイリターンが多いものなので、購入する際には上記2点についてしっかり理解してから購入しましょう。